【Pavanasara】雨季

 今年は、雨季の始まりが早く訪れていると思う。


私が雨季を気にするわけ。

それは商品の材料であるウォーターヒヤシンスの収穫が理由である。

ウォーターヒヤシンスは収穫後、1週間から10日ほどかけて乾燥させなければいけない。

カラカラのお天気で一切雨が降らなければ、干しっぱなしで良いのが、雨が降るときは急いで外に干してあるウォーターヒヤシンスを屋根の下に集めて濡れないようにしないといけない。


それに、濡れないようにしたとて、湿気でカビて真っ黒になってしまうことも。


これは、最高につらい!


体力振り絞って頑張って収穫した大事な大事なウォーターヒヤシンスたち。

収穫するのも、それを運ぶのも、さらにそれを干すのも、体力がいる。


商品の制作過程で作り手の女の子たちが一番嫌がる仕事である。



そんなみんなが嫌がる仕事を頑張って、収穫してきたものが、雨のせいで乾燥しきらず、色が悪くなって捨てるしかなくなってしまうという悲しいことは、雨季の季節には1回や2回ではない。


パバナサラの工房を立ち上げたころは、こんな使えなくなってしまったウォーターヒヤシンスを前に頭を抱え一人涙したことが何度もある。



当時のパバナサラはお給料制だった。


どれだけ「空が曇って雨が近づいてるよ! 屋根の下に入れよう!」

と私が言っても、みんな面倒くさがって腰が重かった。そうこうしてたら雨が降り、乾燥しかけていたヒヤシンスは濡れる。翌日も翌日も生乾き状態で少しづつ色が黒くなってゆくウォーターヒヤシンス。しまいにはスタッフの子たちも「もう干しても使えないよ」と放置。 在庫のウォーターヒヤシンスもなくなってゆく。商品は作れない。だけどお給料は発生する。空回りする私の気持ち。一人で頭を抱えていた。


私の友人知人はみな「給料制だからだよ」「出来高制にしないからだよ」と。


そうなんだけれど、

そうなんですが、


当時の私の工房立ち上げの原点が「村の女性たちが都会に働きに出なくても村で仕事ができること」を目標にしていたものだから「給料制」にしていたのだ。



この「給料制」が私を苦しめた。



本当にあの頃は苦しかったな~。


「効率化とはなんぞや」


というのが分らないし知らない村の女性たち。

のんびりのんびりな村の女性たち。

仕事時間中でも自分の都合で勝手にいなくなっている。

村に外国人が来て古着や食べ物を配っているとなると、仕事をほったらかしてもらう列に並びに行く。 戦利品を手にして帰ってからも戦利品を見せびらかしたりしながらしばらく仕事が進まない彼女たちを苦々しく見つめていた。


「カンボジアの田舎からインターナショナルスタンダードな商品づくりを」


頭上に掲げた崇高な目標と現実の間で、私の顔からは笑顔が消え、口を開けば文句ばかり。

女の子たちも一人辞め、二人辞め・・・。


とうとう一人になってしまった・・・・。



それからは「出来高制」にシフトして一人が二人になり、また一人に戻り、しばらくたってコロナが来た。みんな都会での仕事を失い、パバナサラの工房に村の女性たちが集まってきた。


今では固定のメンバーが5人。

仕事が多い時に手伝ってくれるメンバーが3人。


小さな工房である。


1歩進んで2歩下がる。


まさに今までの私たちが歩んできた道。


今では「インターナショナルスタンダード」なシステム作りはあきらめたが、

「インターナショナル品質」と「彼女たちのペース」を大事にすることを柱にモノづくりをしている。



今でも、空が曇って雨が降りそうになると、

「女の子たちちゃんとウォーターヒヤシンスを濡れないようにしているかな」

「捨てるような状況にならないといいけれど・・・」


と、そんなことが気になるのである。


↓収穫したてのウォーターヒヤシンス


↓収穫して1週間前後

↓収穫して10日~14日




動画は、昨日の工房前の様子。

(2025年5月31日)









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