友人の結婚式

カンボジア人と日本人のカップルの披露宴の招待状をいただいた。

10月4日。

カンボジアはここ連日の大雨だったがなんと披露宴当日は雨が降らず。

もっている、新郎新婦。

仕事が終わった夜の8時過ぎに準備をはじめ、会場へ向かったのが8時30分ごろ。街から少し離れたホテル内の宴会場のため、バイクで20分くらいだろうと、出発。

街から離れるにつれて、舗装されている道路がすこしづつ湿り気を帯び、浅ーく、浅ーくだが道路に水が溜まっている。走り続けると、水かさはどんどん高まり5cm、10cm、15cm。私は注意深く、ゆっくりゆっくりと走るが、カンボジア人たちは大きな笑顔でびゅんびゅんと、横を通り過ぎるため、彼らの水しぶきで着ているワンピースが・・・・・。

そうして走るのにもそろそろ限界が見えてきた。

私のバイクが「プスン」「プスン」「プスン」

普段聞きなれない音が発せられ、自然と走行停止。

エンジンのカバーの中の入ってはいけないところに水が侵入してきたのだろう。

ヒールのサンダルで雨水の中にたつと、水かさは約20cmほど。
(雨は降っていない。ここ連日の大雨が捌ける場所なく道路にたまっている。)

通り過ぎるカンボジア人は笑顔で笑いかけてくる者もいれば、憐みの目をしながらも、自分たちも立ち止まると、また発進できる可能性は低いため、立ち止まってはくれない。


無情にも立ち尽くす。


そんなとき、ぼろぼろのバイクを運転した若者が私の横で止まってくれた!!!

ヒーロー登場。

「あそこの水かさが低いところまで、押せ」と、目で合図されヒールのくつのまま雨水の中バイクを押して移動。ヒーローが私のバイクをあちこち触って、修理してくれて、エンジン再稼働!「ありがとう!私のヒーロー!!!」と手を振ってヒーローはボロボロのバイクにまたがって去っていく。しかし、ここはまだ湖と化した道路の途中。帰るも地獄、進むも地獄。戻ろうか、進もうか。ここで引き返しても、友人はきっと許してくれるに違いない。思いを巡らせ、悩んだ結果、友人の結婚式に向かうことに。絶対に途中でとまらないこと、と心に決めてエンジンスタート。なるべく、水かさのひくいところを探しながら、ときどき、道路のくぼみでガクンとタイヤがとられたりもしながら、なんとか、とまらずに披露宴会場のホテルへ到着。ただいま9時少し過ぎ。

扉を開けてくれるドアマンに挨拶し、会場のはずのホテル奥へと小走りに進む。人の気配がしない。遅くなったし、天候もこんなだから、あまり人がいないのか・・・?

会場に到着。

薄暗く、スタッフが片づけをしている。

「あのー、今日、ここで披露宴ありますよね。」と尋ねると、全員が顔を見合わせ「披露宴・・・???」

(前にこのホテルで披露宴に呼ばれたとき、会場ここだったけど、もしかしたら違う会場!?)と思いなおし、ロビーの受付へと小走り。

「ここで披露宴が今日あると思うんだけど。」


「披露宴・・・? ないけど。」

「!!!!!会場間違えた? 私!!!????」

本来ならいただいた招待状を見直せばよいのだけれど、家に置いてきた。これは招待してくれた本人に電話をするしかない。もしかしたら出ないかもしれない。披露宴の途中なのだ、電話の音が聞こえないかもしれないし、そもそも携帯を携帯していないかもしれない。しかし、選択肢はない。

「プルルルル・・・・・」

何度目かのコールで相手が出た!

「ごめん。あのね、忙しいと思うんだけど、私ね、会場間違えたみたいで、今xxxホテルに来てて。」「場所、間違ってきちゃったみたいで。道路は冠水していてもう大変だったし。ホテルついたら誰もいないし。はあはあはあ・・・。今からそっちに向かいたいんだけど場所どこ???」

「KIKOさん、会場はあってますよ。」

「え?」

「でも、11月です。」

「?????」

「11月4日です。」

「・・・・・・。」

まるで吉本新喜劇のワンシーンのように、突如真っ暗になって携帯電話を握りしめた私だけにスポットライトがあたったような、そして、「神様~~~~!」と叫ぶ桑原和男の気持ちとシンクロする。

あの、あの湖をまた逆戻り・・・。



こ、これで、ひとつ話しのネタができた。

少なくとも収穫はあった。

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