【Pavanasara】パヴァナサラの工房閉鎖 その1

振り返ってみると、 

あの凝縮された怒りの感情を抱えた自分がいつの間にかいなくなっていて、
今はあの頃よりはだいぶましで、
なんなら怒りの「素」を俯瞰して見れるようになったな、、、とさえ、思ったりする。 


 あれから1年半。 
 あの頃の私は自分の思うとおりに進まない状況にイライラをつのらせ、
いつも泣いていた。 

人生の中であんなに濃密な時間はない、というほどに神経をとがらせ、人との距離も近くて、24時間毎日、そのことばかりを考えていた。 

 誰にも会いたくなくて、 
仕事のない日は家で一日中過ごし、 
仕事がある日でも誰にも会いたくなくて引きこもったりしていた。 

 カンボジアで生きていくこととは、些末なことなど気にしないおおらかな人たち、時間の流れのゆるやかさとの対峙。 

 分かっていたはずなのに、
むしろそれを求めてカンボジアへきた、といってもいいのに・・・。

いざ村の人たちと一緒に仕事をすると頭がくらくらしてめまいが起きる。 

 「さすがカンボジア!」

 と笑う余裕はなかった。 


 それでも、気力をふりしぼり、頑張って続けたが、
最後は向こうが離れていった。 

 そりゃそうだ。

 ほかにも仕事があるなら、がみがみうるさい日本人よりほかのところへ行くだろう。 

 そうして、パヴァナサラの工房は1年半で閉鎖した。 むしろ1年半よくもったとも言える。



パヴァナサラの工房

雨期、

床下まで水位が上がり、すぐ目の前までウォーターヒヤシンスで埋め尽くされる。

窓から見える風景は遮るものがなく、
太陽が水面に映えてキラキラひかる。
ボートをこいで漁をする村の人、
水浴びする水牛や
移動する鳥たちの群れ

美しくて・・・。
私にとっては100万ドルの風景だったと今でも思う。

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